原 題:The Basketball Diaries
監 督:スコット・カルヴァート
日本公開:1996年1月20日(アメリカ製作)
上映時間:102分
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、マーク・ウォールバーグ、ジェームズ・マディオ、ジュリエット・ルイス、アーニー・ハドソン ほか
(あらすじ) ハイスクールでは問題児として扱われているジムは、バスケットボールに対する努力だけは熱い。ミッキー、ペドロ、ニュートロンとともに毎日軽い不良行為をして気楽に遊んでいた。しかしバスケットボール仲間でもあったボビーを白血病で失い、仲間と麻薬(ヘロイン)へと手を出す。「自分だけは大丈夫」と軽い気持ちで走った土曜日のヘロインは、だんだんと回数を重ねるごとに中毒と化していく。熱心だったバスケットボールも麻薬のために退学に伴い辞めることを強いられ、シングルマザーだった母親にも半ば家出に近い形で追い出され、ジムはさらに麻薬におぼれていく。
ジム・キャロル著作『マンハッタン少年日記』を映画化した実話。
ふと、「ディカプリオが見たい!」と思い、タイトルからして「バスケットボールに打ち込む青少年を描いた青春ストーリーかな?」とろくに中身も調べずに見てしまった作品でしたが、中身が何と重たいこと・・・・
共演していたジュリエット・ルイスとは
『ギルバート・グレイプ』(1994)でも一緒に出演していましたか。ジュリエット演じるダイアンも麻薬を手に入れたいがために売春を働いていたりする女性。まだジムがハイスクール(カトリック主義学校)にいたころは、非行を働きながらも落ちぶれたジュリエットのことを見下して元気にケラケラ笑っていたのですが、後に自らも中毒になり、麻薬にすがるお金もないときにジュリエットに援助を求めるのですが、逆にあしらわれてしまいます。20セントがばらまかれたコンクリートからチマチマ集めるジムのみじめなことといったらなかった。
原作者のジム・キャロル氏は劇中でも姿を現しており、ヘロイン漬けとなって前後左右あやふやなディカプリオ演じるジムによくわからない話をひたすら語り続けるという形で出ていられます。このシーン必要なの?と思い後に調べたら作者の方でした。
ジムが麻薬に走ってしまったきっかけが熱心なバスケットボール仲間だった白血病ボビーの死でした。ジムが心の支えとなって、バスケットボールを続けていたのだろうと思います。後に麻薬から救ってくれたのが公園でよくバスケの野試合をしていたレジー、この時の葛藤や禁断症状の苦しみ方が何ともリアルで哀れだなぁと心の底から思ってしまいます。
麻薬の資金のために売春も働きましたが、まだ麻薬もそこそこだった頃にバスケのコーチだった監督・スウィフティに売春を迫られ一度断っています。麻薬による試合中の失態から退学後、この時にスウィフティの幻覚が嘲笑いながら登場。一時の快楽や苦悩から逃れるために、プライドを捨ててこんなことまでするのかと思うと自分でも何をやっているんだろうと思った事でしょう。しかしそれでもやめられないのが麻薬、売春のほかにも強盗など様々なことをやっています。
仲間のペドロは(麻薬に詳しくないのでよくわからないのですが、その影響からか)眠気がすさまじいみたいで、強盗をミッキーと3人で犯した後に逃げられず警察に捕まってしまいます。ミッキーは、ジムと2人で不純度な麻薬を売りつけてきた売人を追いかけた際、不慮の事故で死なせてしまい10~15年の処罰に化せられています。麻薬に深く関わらなかったニュートロンはバスケットボールを続け、大きなチームに入団。ふとしたことでジムにも伝わりますが、こんな麻薬中毒な自分とニュートロンを比べて色々と思うことがあったでしょう。
お金が無くなり、仲間もいなくなり、人見知りには嘲笑われ他人のふりをされ・・と最後に行きついたのが母親でした。ニュートロンが「母に親孝行してやりたい。」と語っていたのを見て、心では分かっているのに何もできず・・とだらだらと麻薬を続けていましたが、お金の援助を求めてまた母親のところへ戻ります。
可哀想な自分の息子をどうすることもできず、警察へ通報、拘置所で今までの自分の行動に頭を冷やしたのか出所後は麻薬の恐ろしさや現状を舞台にのぼりみなに語ってフェードアウト、という形で映画は終わります。
出所後にペドロと再会していますが、ミッキーが10年~15年の刑に科されると話していました。「未成年なのに成人と同じ扱いだ」と言っていたところを見れば、3年経っていないということなんですね。一体何歳なんでしょうか・・しかし早いうちに中毒から立ち直れてよかったです。
ジムはバスケットボールのほかに、日記をつける・小説を描くことも好きで続けていました。親友のボビーや、死にかけていたところを助けてもらったレジーも彼の文章を見て感動しています。
レジーが禁断症状から落ち着いたジムに「お前の詩が好きだ」と言ってくれたあとのジムのこの笑顔…!すごく可愛いです。
その結果、現在本を執筆しているきっかけにもなり、若者の麻薬について生々しく描き、様々な人に伝えることにつながったのでしょう。
しかし相変わらず美しい顔だけではなく、演技もまた上手というのがディカプリオの魅力だなぁと感じさせられます。
思っていた中身とは解せないくらい違うストーリーでしたが、麻薬中毒者、これもまた彼の演技の魅力の一部となっているので素敵です。
この作品に至っては、私と同じく「バスケットボールするディカプリオが学生生活を謳歌する青春映画?」と思って手に取った方も多いのではないでしょうか・・裏を返せばディカプリオが出てなかったら手に取る方が少なかったのでは?と思ってしまう映画でもあります。
(上記画像
IMDbから)
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